2021年　年頭あいさつ

皆様明けましておめでとうございます。本年も平安病院をよろしくお願いいたします。
このようなご時世でございますので、新年だからとあまりめでたいと浮かれてはいけないとは思いますが、せめて新しい年に希望は持ち続けていきたいものであります。

さて2021年の干支は「辛丑（かのと・うし）」でございます。「辛」は思い悩みながら、ゆっくりと衰退していくことや、痛みを伴う幕引きを意味する。草木が枯れ、新しくなろうとしている状態。「丑」は種の中に今にもはち切れそうなくらい生命エネルギーが充満している状況。種から芽が出ようとする状態。2021年は何かが終わり何かが始まる年といえるでしょう。

「With Corona 」という言葉がございますが、この言葉に対して非常に違和感を覚える方も多いようです。「医療従事者は一生懸命コロナと戦っているのにコロナと仲良くするとは何たることか」「敗北宣言か」との論調も聞かれます。別に仲良くしようとしているわけではなくしばらくこの状況が続くので長丁場で疲弊しないようにとの気持ちもあるとは思います。あまり「戦い」に意識が行き過ぎると、感染者を敵視し差別が生まれないかとこちらの方も気になるところです。ワクチンへの期待も高まっていますが、これまでにない機序のワクチン接種に不安感があるのも事実です。免疫学の新しい発見などによってより良い治療薬ができることに期待したいです。

産業の変化も起きています。旅行やイベントは衰退していくのでしょうか。飲食はデリバリー、テイクアウトが発達し、買い物はネットサービスの広がりが見られます。仕事や学校では会議の整理、縮小、ペーパーレス、オンライン会議や授業も当たり前になってきました。私自身はまだ慣れていませんが。

この状況下ですから、あらゆる仕事の中で医療は一番に影響を受けます。現場はいつも感染を持ち込ませない/広げないことに集中し緊張を強いられます。精神科も含め、コロナ以外の医療も必要です。医療事態を逼迫させ衰退させてはいけません。すべての健康は第一に守らないといけません。またこの状態で医療者自身のメンタルの健康を維持しなければいけません。そこからつながって職場内でのいじめや差別や虐待が起こってはいけません。患者さんの人権にもより配慮した医療を目指したいと思っています。

今年はおそらくは我慢の一年になるとは思いますが、良いことも必ずあると信じています。こんな時代だからこそ職員みな一致団結して乗り切っていきたいものです。困ったときには当法人の理念を思い出して頑張っていきます。

「すべての人にへいあんを」

令和3年1月

医療法人へいあん平安病院　病院長　大田　裕一